遊戯王 スターターボックスの登場。3箱買い伝説。
遊戯王の歴史の中で必ず話しておきたい公式ルール上での戦い。この時には既に遊戯王には”買わなければ”という壮大な商売が君臨していたのだった・・・。
- 遊戯王 スターターボックスの登場。3箱買い伝説。
- 多々買わなければ生き残れない!複数購入の商品の元祖。
- 多々買わなければ生き残れない!しかし戦術は立派にありました。
- ドラゴン族封印の壷で青眼のメタを張る←両方スターター収録な罠。
多々買わなければ生き残れない!複数購入の商品の元祖。
「今の時代がどれだけ暗黒環境でも買わなければ勝てないゲームよりマシでしょ。
って事で実は遊戯王はリンク召喚よりも壮大なルール変更が行われた前の段階であるスターターボックスの話題について語ろうかなと思います」
「買えば勝利に近づける課金アイテム・・・って言えば聞こえは最悪だけど買えない人に取っては本気で詰むゲームだったんだっけ?」
「Exactly(そのとおりでございます)いじめすらも起きる程の格差ですよっていうかこの時期の遊戯王含めてTCGではアンティルールや様々な問題が起こりすぎて全てを語れないのも事実です。と言うかローカル部分がこの時期は多いので正当な意見が出せないってのが正解ですね」
「まぁこのサイトで言う事が全てでは無いもんね・・・。というか子供に青眼を突破する方法をローカルで当初考えろって無茶すぎるでしょ」
「この頃はまだまだルールの抜け穴を探すってのが辛かったですからね。まず3000の打点があるところからスタートし戦うというルール。
ただし、ガチで戦おうと考えると実は結構スターターボックス同士の戦いの場合酷いものでは無い様に思えます。実際同じ条件ですし《地割れ》《ブラック・ホール》《落とし穴》の3代除去は健在。
またサンダー・ボルトの解禁で一気に劣勢を覆すことが出来るようになったのですからそこまで悪いようには思えません。ただし、そのサンダー・ボルトすらも当初入手する方法はスターターボックスだったので「そもそも劣勢を返す手段が少ない」のは事実でしょう」
中古遊戯王/旧世代 スーパーレア[SR] : サンダー・ボルト
「えげつなく皮肉的なお話よね」
「まぁこのボックスを買ってようやくスタートという感じでしょうね。
因みに一枚ずつの収録となっているので『3枚積みたければ3つ買え』というのが常識でした。価格は3480円だったので×3で約1万円の出費です。こういった商品の他にパックが毎月の様に量産されて強いカードが出てくるので『子供のお小遣いではどうしようもない』問題が多発。
勿論少しずつギミックによって改善はされるのですが、カードゲームとしては異色な『レアリティの高いカードで埋めて殴る』という札束を作り上げる事が勝利の近道だったのです」
「言い変えると子供と大人の層が別れやすい環境でもあったという事ね」
「昔みたいにネットが充実している訳でも無いですから『環境カードを駆使して戦う』という概念もそこまでなく「大型出して殴って返されて」な大味なデュエルが楽しめたのです。
勿論、スターター当時から新規カードは多々登場しましたが、これも実際はレアリティが高い物。
当時の子供も出たらラッキー程度にしか思っていないものが多々封入されていた事もあって、『まだこの時期はボックスを買うか』が重要視された時期でもありました。
幸いな事に時期は入学式や卒業式シーズン。
小学生は恐らく入学祝いに購入して貰ったり進学祝いで買って貰ったりという部分も幸いして『限定品』以外はまだ買うことが出来たのではないかなーと思っています。それでも近所のトイザラスやサティ等のお店で売り切れがあったりして泣く泣く買えないときもあったんですけどね(´・ω・`)ウチの所だけなのかも?」
多々買わなければ生き残れない!しかし戦術は立派にありました。
「最初から資産ゲーだった遊戯王がたどり着いた先は実は子供が入り込めない結構難しい世界でした。
▲こんな感じの上級生が多いあの無法地帯。あのアニメ前のテロップでお察しいただけると。
“上級生”のヤツらは裕福なカードを使いながら、くだらないサンボルをぶつけ合っている。
俺達は、そのしわ寄せでこんなデッキを……
1枚ずつの収録なので3つ買うことを強いられてるんだ!」
「ってなってたあの時期(´・ω・`)まぁ3つ買ってと親にねだる勇気は無かったですね。
さてさて、このスターターボックス。良く見ると『基本コンセプト』はしっかりしたものでした。
《青眼の白龍》を筆頭に、初期パックで《ブラックマジシャン(レリーフ)》を当てていると基本的には攻撃力でごり押せる環境だったのかもしれません。特に最初期は『除去カードが少なかった』のもあり先行で青眼を立てれれば即詰みともなりやすかったのです。
しかし、これらのカードを除去できるカードが6枚も積めてしまうので「返しつつ高攻撃力で攻める」というのも可能なのです。
この場合重要なのは「大型の駒を何個出せるのか」という事。青眼を出してしまい相手を封殺しても良いのですが、相手がブラックホールと青眼を持っていた場合、返されてしまいそのまま青眼を出されてしまう場合があります。
《青眼の白龍》の攻撃力は実際越えようと思っても中々越えられる物ではないのでこの《青眼の白龍》を何時出すのかが勝負の決め手となりました。言ってしまえば
- 先行で《青眼の白龍》を出した場合、カウンターされてしまうが落とし穴を警戒しなくて良い
- 2ターン目で《青眼の白龍》を出しても良いが相手の落とし穴を警戒しないといけない
- 《青眼の白龍》自身を積んでいないと青眼同士の相打ちに持ち込めない
という駆け引きが生まれています。
勿論ブルーアイズを積んでるのかも勝敗を分ける点ですが、プレイングや心理戦が一番重要だったと言わざるを得ない楽しみ方があったんですよね。
勿論ルールは二ヶ月で消滅してしまう運命でしたが、星の多さが勝利に直結するというスターチップを意識したような戦いは大味でありながらも楽しいものだったのでしょう」
「?」
「ボッチでしたから・・・相手が親しかイナカッタンダナーこれが」
「・・・・・・」
ドラゴン族封印の壷で青眼のメタを張る←両方スターター収録な罠。
「まぁその中でどうやって活路を見出そうか・・・と考える人も多いのですが、その中でなんか耳に残っているのは「ドラゴン封印ゲー」という言葉でした。
まぁ青眼自身を持っていない上にこのカードを持ってないのはありえないのですが、当時の様々な収録ギミックにおいて重要なカードだったのかもしれません。
現在このカードを振り返ってみると実は使えそうで使えないなーってレベルのカードで、『青眼を横にしてフィールドリソースを得たブラックマジシャンで殴る』というコンセプトしか思いつきませんでした」
「ただ良く考えればありえないってコンボもこの時期は本当に通用したのよね。それに大型で殴るって次代からドンドンと戦略的になって持ち返したゲームなんて遊戯王が初じゃないかしら」
「えぇ、本当その通りです。
正直にこの部分を知ってるからこそ今の遊戯王は楽しいと思えるわけですね。
しかも当時、カードゲームと言うものはメジャーという部分も無く、ローカルなルール。また、『ネット』という物が普及していませんでしたしゲームとしての感想等が風評被害で起きなかったってのもあるかもしれません。
ただ「カードゲームアニメのTCG化」というインパクトはやはり大きくコレクションとしても機能しブルジョワなユーザーが勝てる世紀末。
コレクター層や新規勢の獲得のための構築済みデッキの配布など「基本的な部分は20年経っても変わってない部分が少しずつ残っている」商品戦略はこういった部分から来てるのかなーって」
「後にこの後攻撃力2000というラインなど「下級モンスターが越えてはいけないライン」等が少しずつ作られていくようになるんだ」
「そうですね。最初からあったんですが、装備魔法主体の攻撃力アップと1・1・交換の違いや攻撃反応など「普通よりも戦略的な運が絡む戦いが好きな人には溜まらないもの」でしたし、他のカードゲームと違った「戦略とは違った駆け引き」があった事はキチンと書いておきたい部分ですね。
遊戯王OCG デュエルモンスターズ 20th ANNIVERSARY SETも発売されるVOL1の裏にはこんな歴史があったんだなーってレベルで考えてみると購入した時に楽しめるかもしれませんよ?」