遊戯王の1期は基本的に最上級モンスターを出してぶん殴るシンプルなゲームであり非常に資産ゲーの様な形となってしまいましたが、エキスパートルールが登場し遊戯王のシステムが一気に変わる事となりました。
ココでは遊戯王の1期のエキスパートルールの登場とその歴史的背景等について書いて行こうと思います
※この歴史シリーズはまいログメンバーの記憶を中心に書き殴ったものになっています。多少の誤差もありますのでそれも踏まえた上で楽しめる方のみご覧ください
- 【遊戯王 1期とカードゲームブーム】「キャラクターTCGブーム」という社会現象を越えての商品戦術を。
- 【遊戯王 1期】公式ルールの唯一の利点。”他のカードゲームから学んだ事”
- エキスパートルールによる戦術の増加と制限改訂
- 1期のエキスパートルールの変更点 生贄というコストとディスアド
- 何故エキスパートルールでは魔法罠の制限が無くなったのか。
- エキスパートルールによりユーザーの実力と知識が明確に。
「いやぁ。なんだろう。普通に遊戯王してるなーって感じのルールですよね。
アンティルールが何故か良く考えたら学校界隈で普通に行われ問題となってしまった私の周りのヤバさを差し置いて、この大幅なルール改正は衝撃的でした。
ただ、何故こんな大きなルール変更を行ったのか。その理由等は定かではありませんが1つだけ分かっている事実がありました。
遊戯王だけを追っている身としてはあまり感じない部分で、実はこのときカードゲームはとあるムーブメントを引き起こしていたのです」
【遊戯王 1期とカードゲームブーム】「キャラクターTCGブーム」という社会現象を越えての商品戦術を。
「今考えてみるとこの当時ルールの一新というか根本的なシステムを変えようとしていたカードゲームが多かったのかもしれません。
ポケモンカードゲームも実際2000年の序盤にNEOとして復権。
裏面を変える等の変更を行っており、カードゲームの黎明期から少しずつ売り上げを伸ばそうとしていかなければならない風潮もあったでしょう。
そもそも、エキスパートルールの変更はユーザーにとっては良かった事でした遊戯王は1999年で何回もイベント等も行うほどの大盛況でしたし、カードゲームにおいて戦略がようやく出始めた時期でもあります。
そもそも環境デッキとかそういう次元の問題でもなく、札束で殴った方が早いジャンケンと罵られたあの時代(思い出)からの建て直しを図るには絶好の機会だったのかもしれませんね」
「1990年代のカードゲームと言えば本当にブームというかとりあえずカード出しとけの風潮は強かったですの。
その時周辺で流行っていたカードと言えばビーダマン爆外伝とかもこの周辺だったかもしれませんわね」
「なんか凄く記憶が曖昧ですねが、それ位カードゲームを出すってのが基本だったりしたのはいうまでもない事実。
特にヒットすれば売れるからというバブルの名残があったのかもしれません。アニメで流行ったものは関係なくカードゲーム化。これが鉄則の様なところもあって、子供達よりも親が毎日震えて過ごしていた時代もあったかと思われます。
新品トレカBビーダマン爆外伝 カードゲーム 対戦入門パック ビーダマンVSダークビーダ
しかし、カードゲームのルール自体が公式ルールの遊戯王並に酷かったのかと言えばそうでもありません。ポケモンカードゲームも実際は戦略性は初期から存在していましたし、楽しく遊べる部分は強かったのも確か。カードと関係ないジャンルでもキチンとしたルールなどがありました。
また、メジャータイトルのカードゲーム以外で大きく先陣を切ったなぁと思ったのはメダロット。
個人的なチョイスですがエネルギーを分けての難しさはあったのですが回避等の”相手の思惑を外す”というカードはこの当時すでに存在していたんですよね。
攻撃をする上で、いつ使おうか等のタイミングを計るカードもこのカードゲーム黎明期から存在したのだと感じされられた一枚です。
こういったカードゲームにおいての独自性はこの頃がピークだった気がします」
「まぁそんな時期に遊戯王がやってきて始まった事は
アンティルールとブルーアイズを投げるだけのゲームっていうカオスな環境だったのです。
勿論カードゲームユーザーという部分よりも遊戯王は”ファンやカードゲームから始まった層”が多かったりキャラゲームとして遊べれば良いや!
って印象が強い人も多い中でしたがきっとこのままではどうしようも無いって公式も思ったんでしょうね。
もしかしたらアニメ等がそこまで長引くと思って無かった・・・なーんて勘ぐってしまいますが(´・ω・`)」
「なんか凄くネガキャンの様に聞こえますわね」
「そりゃそうでしょうよ!
昔の公式ルール知ってる人からしたらはぁ?って位の完成度だったんですって!
今初期の遊戯王のルール持ってきたら炎上モンに決まってるでしょ!って私は言い続けますからね!
今の遊戯王は好きですけど!本当ルール変わって良かったよ!
【遊戯王 1期】公式ルールの唯一の利点。”他のカードゲームから学んだ事”
中古遊戯王/ノーマルパラレル/DUEL LINKS「遊戯王デュエルリンクス レジェンドデッキガイド」付録 レジェンドデッキ 闇遊戯VLG01-JP001 [Nパラ] : ブラック・マジシャン
「と声を大きく言いたくなりましたが、そんな遊戯王のカードゲームは当時触っている自分にとって”分かりやすい”という部分は印象に残っていました。これは遊戯王カードゲームだけではないんですが、モンスターを出す、魔法罠を打つ。これだけで遊べるという気軽さは他のカードゲームにおいて全く異なる利点です」
「特にアニメが”TCGをノリで感じる事が出来た最初のアニメ?”だったかもしれないんだっけ?」
「詳しくは分からないんですがただ単純にTCGブームとしての波に乗ったコンテンツではなかったのは確かです。
他のアニメがTCG化される場合”あのキャラがカードになった”という部分が最大のネックになってしまいます。カードを始めても「効果はTCGのイメージに置き換わる」事で効果と意味が噛み合わなくなるのです。(例:レアリティの違いはあれどキャラの強さが違うなど)
遊戯王においてはそういうのはありません*1から、参入の壁が物凄く低かったんですよねー」
「まぁ、後はその上でルールを変更すれば・・・って流れだったのか」
「勿論カードゲームにおいての戦術は初期から多くありましたし、今後の遊戯王のルールに響きそうな魔法罠を1回しか使用出来ない。誘発が使えないと言うルールまで存在します。攻撃力が3000を越える事を前提とした殴り合いなど全くつまらないカードゲームだったという訳ではありません。
強いカードを出す、除去する。罠を敷く。こういった基本コンセプトは明確になっていました。この部分はちゃんと弁明しておこうと思います」
「所謂キャラを中心としたゲームから、公式のTCGとして成長したという感じですわね」
「しかも何が凄いって”ゲームが破綻せずに楽しめる”って事なんですよ。マナ概念が無いデュエマがいきなりマナ概念を増やすって感じですけど、その際にレベルを使用していたってのがかなりゲーム性に響いてきた印象も受けています。
もしこれがレベル4からが上級であった場合カードゲームとしてのバランスを崩壊させかねない問題が今となっては出てきてしまいますし、”上級や最上級モンスターの扱い”も絶妙なバランスだったと今は感じるのですがレベル4って何処から判別したのでしょうね(´・ω・`)やっぱり《Celtic Guardian/エルフの剣士》等がレベル4だったからってのはあると思うんですが・・・」
中古遊戯王/英語版/R/Millennium PackMIL1-EN026 [R] : Celtic Guardian/エルフの剣士
「でも分かりやすい下地から一気に戦略を加える際に様々な工夫をしたりしたんですわよね。もう少し後ですが、EXシリーズの発売であったり公式がドンドンとデッキ構築を簡単にしていく工夫が見られていきますわよ」
エキスパートルールによる戦術の増加と制限改訂
【エキスパートルールとは?】
公式ルールは、初心者でも専門知識無しに楽しめるように作られたルールでした。
それを上級者のために、さらに戦略性を高めたルールが「エキスパートルール」なのです。 なるべく運の要素を排除し、コンボなどの可能性を広げるように考えられています。
公式大会等で採用されているルールも「エキスパートルール」が主流です。
さあ、君も「エキスパートルール」をおぼえて、強力デュエリストを目指そう!(Boosterシリーズ付属ルールカードより引用)
中古遊戯王/青眼白龍の伝説 (LB)LB-52 [SR] : サンダー・ボルト
「遊戯王のエキスパートルールには制限が付け加えられたりと様々な制約が登場しましたの。
このルールの大きな特徴は”公式の大会用のルール”として作られているものという事ですの。遊戯王の新規参入という部分も含めて公式ルールと使い分けていたのはこういった問題があったためですわね。
また、ローカルでしたが公式ルールとエキスパートルールを使い分けて遊ぶ事や初心者には公式ルールで良いよっていうハンデであったりと少なからずこの頃はルールをやたら分けている事をアピールされた時代でもありましたわよ」
「お前初期カード持ってないんだろ?俺らはそのままのルールだけどそっちは公式ルールでやっても良いぜっていう暖かいお話もありましたねぇ。このエキスパートルールはいわば遊戯王のバトルシティ編にてルールの説明があった事による普及もあったかと思われます。
特に重要なルール改正は生贄召喚(アドバンス召喚)の存在と、魔法罠カードの使用の無制限化。そして、融合素材を手札から選択できるという事でした。
サイドデッキはまだ10枚だったこの時期ですが、融合を使用してモンスターを出すという事が可能となったのです」
「あれ?この時代じゃないと手札融合出来ないんだっけ?」
「確かそのはずですよ(´・ω・`)このお陰で手札消費が激しいのですが融合モンスターを生贄素材として出す事が可能となりました。
この頃私が好きだった《暗黒火炎龍》が出せる!とワクワクしていたのを思い出しますけど・・・でも当時ってそんなにルールを熟知してなくてただ普通に使ってたような気がするなー(´・ω・`)・・・子供だったしゆるして?」
1期のエキスパートルールの変更点 生贄というコストとディスアド
「しかし思い切ったルールよね。手札をオーキド博士の様に使えないってのに手札を消費するカードゲームに生贄を使ったカードの召喚って非常に辛いわよ。特に除去されたら目も開けられないじゃないの」
「そうなんですよ。当時サイクロン等も無いし、こういった問題はありました。今後登場する装備してぶん殴る戦法でもそうなんですけど対戦するうちに子供は「これ除去されたら辛い」っていうジレンマを抱えてしまいます。そう、このときには既に大型だけど活躍しないって言う問題を抱えてしまったんですよ。
ファッティに人権は無い・・・て言われてなんだそれ?と思い返してみると当時のカードゲームにおいての不遇さ等がにじみ出てくる結果だと思います。この言葉の意味を気づくのは2002年。私はデュエマの初パックの時に気づきました」
中古デュエルマスターズ/SR/火/[DM-01]第1弾S8 [SR] : 【ランクB】メテオ・ドラゴン
「例えば前回の歴史等ではブラックホールやサンダーボルトでの除去で返せば良いと言ってましたが、この場合青眼の白龍を出すには2枚のカードの消費。ターン数では数ターンもの時間がかかってしまいます。
この苦労が一枚のカードで流されてしまうわけです。となるとこの当時考えてしまう結果が「強いカードを落とし穴等の罠で除去する」という発想です。この点から子供達は出すまでの間カードを護らないといけないという部分や、フィールドのモンスターを生贄にしてまで出すカードなのかを考えなくてはならなくなりました。
こういった考えるという行為が自然と遊戯王で登場したキャラと同じような感覚になり楽しめる・・・そんな楽しみ方もあったのです」
「勿論公式ルールでも考える事はありましたけど、かなり難易度がこの際に上がりましたわよね」
「そうですね。それと同時に”好きなカードを好きなタイミングで出す”という難題をつき付けられるようになりました(罠ガン伏せ時代・パーミッション等)。ただし、レベルが低いモンスターに価値を見出したのは物凄い良い利点だったと思います。
無価値からの復活は本当に凄かったです。ただし、完全に救われるまではもう少し時間がかかってしまいましたが公式ルールの戦略性からココまで復活したというのは正直驚きました。そして青眼の白龍だけ積んでれば勝てる!というお金持ちユーザーは少しずつ遊戯王から離れていったのです(個人談)」
何故エキスパートルールでは魔法罠の制限が無くなったのか。
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「でもなんで魔法罠の制限枚数を無くしたのかなぁ」
「これも当時からいる人間だから分かるんですが「戦術的インフレに備えて」だと思います。当時の制限改訂から見ると直接的な除去は制限にしているのですが、それだけだと返すだけになってしまいますので後のインフレには対応出来ません。
また、遊戯王において最強の革命カード「手札融合」が登場し融合を使用したターン魔法罠が使えないのは辛いと判断した可能性もあります」
中古遊戯王/ノーマル/デュエリストレガシー2(DL2)DL2-040 [N] : 融合
「そして何より除去カードが制限というシステムに加わったというのが大きいです。あの《落とし穴》が当時は制限カードだったんですよ!
これはどういう事かというと”大型を出すか小型を除去されたらその時点で有利不利が変わらない”裏返しでもある事。モンスターの殴り合いにおいて除去を加える事により相手との圧倒的なテンポアドがついてしまうことの懸念もあったのかと思います。
先行で落とし穴をセットして相手のモンスターを除去すればその時点でモンスターが次のターンでは2体。そのまま相手のライフを削りとってしまえば例え相手がモンスターを出してもリリース素材として1体は確保できてしまうというジワリと勝てない事態を予測させるカードゲームでもあります。
こういった場合に落とし穴を除去しつつ展開出来る手段があれば・・・?そういう結果から出た答えなのかもしれません」
また、このカードゲームの流れはハーフデッキや、スターターデッキでの戦い方で感じるジレンマに似ているものがありますので今でもこの感覚で遊ぶ事が出来ますよ」
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エキスパートルールによりユーザーの実力と知識が明確に。
中古遊戯王/ノーマル/スターターデッキ2013ST13-JP004 : ホーリー・エルフ
「エキスパートルールは競技性という部分において他のTCGに引けを取らない戦術を生み出す事になりました。
環境の読み。ココでこのカードを出しておけばっていうプレイングが如実にあわられる事になり”ユーザーにおいての実力差”が明確に出るカードゲームという扱いになりました。ほぼ全てのカードゲームがそうなのですがこのときの遊戯王はデッキコンセプトと言うよりは”戦い方”によって勝ち方が変わる非常にシビアなゲームでもあります。
公式でも「なるべく運の要素を排除し、コンボなどの可能性を広げるように考えられています。」という書きかたの通りインフレを見越したカードゲームにしていきたかったのでしょう。
ただ、元々遊戯王の公式ルールにおいて分かるように効果モンスターというのがまだ登場しない前提でのコンセプトだった分今後遊戯王のインフレはエキスパートルール以降、分かりやすいレベルで加速していきます。
なんと二週間後には2ドローの《強欲な壺》の登場などドンドン環境がインフレするキッカケとなるカードが刷られていきます。遊戯王TCGとしての楽しさが増える一方で出してはいけないカードも今後登場するのです。
しかし、この時遊戯王の初期ゲームをやっている事で気づいた初心者からの脱出方法がありました。続きはそんな事を考えつつ書いていこうかなと思います。ヒントは2000です(´・ω・`)」
*1:勿論アニメ等の効果とはかけ離れているし、TRPGとしての側面はありますがエクゾディアの特殊勝利などそのままを再現できる強みはありました